2006年01月05日

飲み屋の作り方[08] --2004年10月下旬、買い物三昧--

2006年、明けましておめでとうございます。
昨年はほんとにみなさま、お世話になりました!
そして今年もお世話になります!
どうぞよろしく、楽しくおつき合いいただければと。

というわけで、長らくお待たせしました。
開店記の続きでございます。一昨年の10月、何をしていましたか?
あたしたちはこんなことしてました。



■2004年10月下旬

 この頃になると、これまであんまり鳴らなかった携帯が日に何回も鳴るようになり、着信音に怯えるようになる。電話は苦手だ。
 特に打ち合わせたわけではなかったが、不動産屋や役所との相談・交渉と会計はアヤが、素材探しや下調べ、図面・施工関連は主にあたしが担当する、という具合に自然と分担が決まってきており、後でお互いの話を突き合わせて相談/決定するというスタイルで仕事は進んでいた。


 施工業者の見積りが出揃った。
 見比べるまでもなく、木ごころさんの方が格段に安い。工事は12月に入らないとできないということだったけれど、love the lifeさんの太鼓判付き、ということもあるし、何より相談しやすい雰囲気が良かったので、やっぱり木ごころさんにお願いすることにしよう。
 ということで、オープン日を11月末から12月18日の土曜日に変更した。
 その前の週じゃ間に合わないし、その次の週末じゃクリスマスとかぶる。
 もう何が起こっても、この日しかない。正味2週間の突貫工事だ。
 それに伴い、スケジュールを組み直す。
 
 よく晴れた気持ちのいい日曜日。いよいよドカンと物資を買いまくる日だ。
 まずは鬼子母神神社の骨董市に出かける。
 さして広くはないが、境内にはのんびりとした空気が漂っていて、店番のおっちゃんが隣の店の品を値切ってたり。いいなぁ。なんか最近バタバタだから気持ちがゆったりする。
 ところでここで初めて知ったんだけど、骨董品というのは、骨董屋同士での取り引きが最も多いんだって。骨董屋さんの中で商品がぐるぐる回っているというわけ。不思議な市場だ。
 何度も行ったり来たりしながら、大正時代の取り皿30枚、蚕の繭を乾燥させるのに使われていた木の大盆、ガラスのランプ、古いカゴ、前掛け、ボロボロのスプーン、四角いバケツ、厚紙に柿渋を塗って仕上げた会計皿などなどを、オマケをねだりながら気分良く購入。また来たいなぁ。ぜひ店のどこにこれらが使われているか探してみてね。
 その後、新宿の民芸品店『備後屋』へ。全国各地の民芸品や特産の布、器などを売っている老舗。ここでは美味しい大根おろしが作れる鬼おろしという道具とお箸を購入。

 最後に本日のメインイベント、新宿テンポスに向かう。ここでまーくんも合流。
 これまで何度となく通ったテンポス、いつもは大量に買い物している人とすれ違うと「ああ、開業するんだな」と思っていたけど、今日は自分達がそっち側に回る番だ。
 必要な物はサイズも含め既にリストアップしてある。後はこれを消化していくのみ!行くぞ!
 3人がかりでボウル・鍋・灰皿・器・フライパン・中華鍋・保存容器・バー用品等々をポンポン取っていく。すぐさま巨大カート2つが満載になった。気分いいなぁぁ!
 店内は携帯が通じない。アヤが車の手配をお願いした友達に連絡を取るため、表に出た。
 買い物の山を更に増やしつつ、ちょっと遅いなぁ、移動中で連絡取れないのかなぁとか思っていたら、しばらくして少し慌てた様子で戻って来た。
 なんと、アヤの地元・新潟が大地震に見舞われたと言う。そういえば、さっきちょっと揺れた。あれはその影響だったのか…?で、規模はどんなもんなの?
 状況はさっぱり不明、ただ大規模な被害らしいとしか分からない。
 アヤは心配と困惑の表情で「実家に電話して来ます」ともう一度表に出ていった。
 脳裏に阪神大震災の映像がよぎる。もしあんなことになってたら、彼女は実家に帰らきゃならないだろう。ほんとにあんなだったら帰るのもままならないかも知れないが、当然開業どころではなくなる。
 ぼーっとカートの中身を見やった。とりあえずは…この物品の山、買っていいのかな…
 やっと戻って来たアヤがちょっと笑っていて少し安心する。どうやら実家のある三条は大きな揺れがあったものの被害はなく、家族も全員無事とのこと。時間がかかったのは携帯が混み合っているのか繋がらず、公衆電話までいかねばならなかったからだった。
 あーよかったぁ、とりあえず無事で。
 カウンター椅子を含め全ての品の会計を済ませ、自分達で箱詰め。
 そうこうしているうちに、車両担当Nくんが到着。椅子が全部入るかどうかちょっと心配したが、なんとか積み込んだ。今日買ったもの全てをまーくんちに搬入し、大買い物大会は終了した。

 毎年10月末から11月頭にかけて、栃木県益子で陶器市が開催されている。
 益子の食器にしよう、というのは、前に合羽橋に行った時に話していた。
 これはどう?と手に取るのがどれも益子の器だったからだ。
 そんな話をしていたら、偶然駅のチラシで陶器市の存在を知った。開催時期もバッチリ合うし、これは行くしかなかろう。
 というわけで、雨の降る寒い早朝、二人とも空の大きなリュックを背負い、完全防寒で気合いを入れて益子に向かった。電車で片道3時間ほどの道のり。
 乗り継ぎに次ぐ乗り継ぎを経て、益子駅に到着。
 駅前は思いのほか静かで、気付けば同じ目的で来たと思われる人々もいつの間にかいなくなっていた。
 町をあげてのイベントなんだから、とにかく歩けば見えて来るだろう、と歩き出す。
 駅に置いてあった陶器市マップを持ってきていたのだけど、あまりに出店数が多いので、全部見てたら日が暮れてしまう。しかし、全て見てみないことには、本当に気に入ったものには出会えないような気もして、つい、器の店が見えると立ち寄ってしまう。
 まだ店もまばらな通りで入った数軒目のお店で、ちょっと素敵な器を見つけた。
 少なくとも3〜5枚くらいは同じものを揃えたい、と思っていたので、奥も見ようと中に入る。けどやっぱ表で見たのがいいね、と出てきたら、もう誰かが買ってしまっていた。そうか、アウトレット品はそう数がないんだから、気に入ったらすぐ手に入れないとダメなんだ。
 気を引き締め直してメイン会場に近付くと、道の両脇にごっそり露店が出ていた。
 こりゃ日が暮れるどころの騒ぎじゃないぞ、全部見てたら。さらーっと流しながら横目で器を眺めつつ、更に進む。
 メイン会場にテント張りの店がうわーーっと一杯あるのを確認し、ここは最後にしとこう、と一旦素通り。もう一つの目的地・骨董屋へ。

 益子にはたくさんの骨董屋がある。
 東京の小洒落たアンティークショップやご家庭用品のリサイクルショップにはない、使い込まれた農機具や古い器、家具がどれもカッコいい。何時間でも居られてしまう。
 何軒目かに入った骨董屋で、たまたま組み合わせて置いてあった五徳(火鉢の上などで使う、鉄製の脚。理科の実験で使う三脚みたいなやつ)と針金で出来た電球の傘(よく工事現場の電球にくっついてるやつ)の素晴らしいサビ具合に惚れ込み、なんとかこの子たちを活かせないかと悩む。
 いや、ほんとにキレイな錆び方なの。特に電球の傘の方。全体に落ち着いたツヤがあって、黒ぐろとしてて。使い込むとこんな風になるんだなぁ(後日、パンポッツの松澤さんに、サビた部分のキレイな艶出し法を教えてもらった。)
 あんまり長いこと悩んでいるのを見兼ねて、お店の人がお茶を出してくれた。更に悩み、結局購入を決定。これをちゃんとした照明器具に作り替えるために、また松澤さんに相談しよう。
 ついでに気に入ってしまった前掛けを購入。既に何枚か買ってんだけどねぇ。ついついねぇ。だって可愛いんだもん。ほら、洗い替えも必要だし(で結局こればっか使ってます)。

 第2会場みたいになってるテント村の広場で、素敵な器を見つけた。
 大沼さんという作家さんの作品で、深い緑色から微妙な藍色になっているシリーズが特に気に入り、しばし見とれる。
 大きめの皿はほどよい具合に深さがあって、盛りたい料理がいろいろ浮かんでくるし、カップ&ソーサーのエッジの薄さがまたいい感じ。
 メニューもまだイマイチ決まっていないんだけど…この器なら何を盛ってもカッコイイはず!!と惚れ込み、カップ&ソーサーを数セットと、大きめで深さのある皿を数枚購入。
 あまりに大量の器を見過ぎて、更に歩き疲れてもいて寒いし、何がなんだか分からなくなっていたところだったんだけど、大沼さんの作品に出会えてようやく、器の方向性が決まった。

 お腹が空いて、とりあえず目についた蕎麦屋に入ってみた。
 あまり品数がなくて、地物のキノコが入っている蕎麦を注文してみたが、このキノコがクセものだった。なんつーか…食感が…固い。ウレタンっぽい。で非常に土臭い。
 普段滅多なことでは食べ物を残すなんてことをしないあたし達なのですが、これはちょっと厳しかった…

 気を取り直して、メイン会場へ。
 雨のテント村はどこもビニールシートを大きく張り出して、まるで障害物競争みたいなことになっていた。頭を上げればシートに溜まった雨水が降ってくるし、足下はシートを引っ張ってるロープだらけだし。トラップに引っ掛からないよう、前屈みの姿勢で歩き回らなければならなかった。
 ここでは数を揃えなければならない湯のみや丼などを購入。
 最後に素焼きっぽいざらっとした質感の平皿を買うと、とてもじゃないがリュックに入れて持ち帰れるような重さではなくなっていた。
 メイン会場の隅っこで宅配便の受け付けをしていたので、一部は試作用に持ち帰ることにして、ほとんどの皿は送ることにした。輸送中に割れないことを祈りつつ、箱を見送った。
 
 我が家で試作をくり返す。たまにまーくんにも参加してもらい、試食会。
 メニューは20品前後を用意してスタートするつもりでいた。肴の小鉢を中心に、メインを張れる一品ものをいくつかと、ご飯もの。基本は和食、シンプルな定番ものでいこうと話し合った。定番ものというとどこにでもあるから、店のカラーを出すにはハードルが高くなるとは思ったけど、安易な創作和食の店にはしたくなかった。
 アヤが仕事の合間を縫って自宅で試作をしてくれていたので、既にいくつかは決定していて候補もある。しかしいまひとつ味の決定に至らない候補が多くて試作は難航する。
 
 さて、そろそろDMやチラシの製作も始めないと。どんなデザインがいいかな。
 それに、実は未だに店の名前が決まってないのだ。どうするどうする。
posted by 高円寺ごち:営業時間19時〜3時/杉並区高円寺北2-7-13高円寺銀座ビル3F右/03-3338-7077 at 04:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 開店記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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