2006年05月01日

飲み屋の作り方[09]--2004年11月上旬/オープンまであと1ヶ月半

■2004年11月上旬:やっと名前決定

 11月頭、カウンター天板の見積りをお願いしていた家具屋から連絡あり。価格は予想通りかなり安く、施工屋さんも驚くほどだった。
 現地工場からの出荷と船のタイミングが合えば、ギリギリ間に合うかも知れない。
 納期について念を押し、すぐさま発注してもらう。間に合うか?
 
 アヤが縫いあげたカウンター椅子のカバーを取り付けに、倉庫にさせてもらっているまーくんちに行く。元々ついている合成皮革のカバーを取り外すのは難しそうなので、そのまま上に被せる作戦だ。
 まーくんが、本人がいない時も自由に出入りして作業できるように、と鍵を渡してくれていた。勝手知ったる他人の家、ズカズカ上がりこんで作業開始。
 座面部分を脚から取り外し、片っ端からカバーを被せ、裏側にはフタをするような形で別の布を張り、タッカーでばちんばちんと留めていく。出来上がったものから脚と合体させて1脚あがり。
 最初は布が重なり過ぎてタッカーが留まらなかったり、ネジを留める部分の裏布に穴を開けないと脚と合体できなかったりして少し手間取ったが、いくつかやるうちにだんだん手際よくなり、やっと慣れた頃には6脚全部出来上がってしまった。そういうもんなのよね、こういう作業って。
 勝手に作業させてもらったお礼に、試食のため取り寄せたまーくんの好物「へしこ」を置いて帰る。
 
 お願いしていた照明機具の詳細を打ち合わせるため、パンポッツに行く。
 またしても店内を勝手にウロつき、気になるものを勝手にいじってアヤと相談。松澤さんはそれをただ面白そうに眺めていて、絶妙なタイミングで値段を告げる。「それとそれ、セットで2000円でいいよ」「ホント!?」で、またしばらくして何かを見つけてためつすがめつしていると「それも付けようか」。結局、特注の照明もなにもかも全てひっくるめた価格な上、おまけの品まで付けてもらってしまった。大丈夫?商売っ気なさすぎじゃない?

 ここで、悩んでいた看板のデザインがほぼ確定した。
 看板は、できれば内照型(電球が入ってて光る)にしたかった。でも、これは注文して作ってもらうとえらく高くつく代物。既製品に自分達でロゴを描くという手もあるけど、形が普通過ぎてつまらない。かと言って木材を使って手作りするのはどうしても素人クサイ感じになってしまうし、防水性も考えなければならないから意外と難しいことは経験済み。光らない看板なら簡単に作れるが、黒板にクリップで電球付けるのなんかは全然嫌だし。
 なんせ予定地はビルの3階で通りからは全く見えないから、路面に出す唯一の宣伝ツールである看板は、印象的なものにしたかったのだ。
 そんなあたし達の希望を叶えてくれた道具は、子供用椅子の鉄の脚とKodak製暗室用ライト(かまぼこ型で平らな面には赤いガラスが入っている)だった。
 大きな暗室ライトは形が可愛いだけでなく、安価に内照型看板を作るのにうってつけだった。しかもフタを開けられる構造で、メンテナンスも簡単にできる。ライトの赤ガラスは外して、その代わりにロゴを貼った乳白色のアクリル板を入れればいい。防水加工も簡単そう。
 ただ問題なのは、ライトを横に使いたいのに、子供椅子のひじ掛けの幅がライトの横幅よりも狭いという点。ライトを縦にすれば入るけど、これはなんとなくイメージじゃない。なんとかしてひじ掛けを広げたいが、古くてかなりガッシリした作りで、そう簡単には広がりそうもない。うーん。何か方法を考えなくちゃ。
 
 物件を契約する日を11月半ばと決めた。
 物件を見つけたのが8月上旬。約3ヶ月まったく無契約の状態だったのに、よくまあここまで引っ張ったもんだ。当初は引っ張れてひと月半くらいと見積もっていたのだけど、なんとなく人に横取りされる気がしなくて、あまり心配せずここまできた。そういう予感って当たるものなのね。
 更に、この3ヶ月の間に契約金を値切ることにも成功。全てアヤの手腕です。さすが。
 12月1日からの工期をできるだけ短くするため、早めから動けるという水道屋さんには、ひと足先の11月中旬に工事に入ってもらうことになった。
 そうと決まると、何日に電気の工事、何日には業者さんが現場入り、そのためにはこの品物が何日までに必要で…という具合に、いろんなことが一気に具体的にたて込んできた。スケジュールの組み直しが必要だ。
 数々の下見などで歩き疲れ、二人ともぐったりとしたまま、駅の中にある狭っっまいドトールで大きい紙にスケジュール表を作る。ぐったりしているから、ちっともはかどらない。
 最近は毎日のように必要なことを書き出してスケジュールを立て直す、のくり返しで、なんだかものすごく足踏みしている感じがする。それでも何か忘れているような気がしてならない。
 一日のうち半分くらいは、スケジュールの相談ばかりしていた。
 改めて学びました。何かコトを進めるのには、スケジューリングが最も重要なんだってこと。
 
 オークションでシンクを落札。今度こそ幅1m。ただし、今すぐに店には入れられないので、配送は11月末まで待ってもらう。本当は、施工が終わるまで品物を入れない方がいいのだけど、大きいものはカウンターを立ち上げる前に入れてしまわないと入らなくなってしまうので、冷蔵庫とシンクと製氷機だけは邪魔だけど先に置かせてもらうことにした。
 瞬間湯沸器落札。最初は外壁に付けるタイプの給湯器を考えもしたけど、業者さんの助言もあって、普通の家庭用のもので行けることになった。これはまーくんちに送ってもらう。
 
 建て込みは業者さんにやってもらうが、塗装と仕上げは自分達ですることにしていた。
 すると、柳沢さんから「試しに一度塗ってみた方がいいですよ。板の表面を削るかどうかで色も変わりますし」というアドバイス。確かに、タイトなスケジュールで現場で迷っている時間はないし、試しておけば必要な物品の手配も無駄なくできる。考えてみればおかしな話だけど、料理は試作するのに、工作の時はたいていぶっつけ本番のつもりでいて、これまで『事前に試しておく』という発想はあたし達二人とも持ち合わせていなかった。
 打ち合わせがてら、船橋にある木ごころさんの事務所にお邪魔する。
 いやー船橋。途中までは街なんだけど、唐突に田舎になるんだね。「つい最近まで水道来てませんでしたから」「え!?」「ヘビ出ますよ」「ええ!?」なんて話をしてたので、覚悟はしてたんだけど、着いてみたらほんとに山の中だった。でも静かで良いところです。
 使用する予定の板の端切れがあるということなので、工房で塗料をお借りして試し塗り。板を削ってから塗ってみたり、何回か塗り重ねてみたり、色を混ぜてみたり。色見本をいくつか作り、さらに仕上げ方法まで伝授してもらった。あー、こういう作業って楽しいなぁ。あたし塗料の匂いとか工房の雰囲気とか好きなんですよ。わくわくする。
 
 後日、実際の作業に必要な塗料や道具を買いに行く。
 都内ってこういう時スゲー不便。大きいホームセンターって、大抵郊外にあるじゃない。車のないあたしらには、非常に行きづらいんすよね。第一、買い物あとの荷物が重くていけません。
 一番近い高円寺のオリンピックを手始めに、中野の島忠、新宿東急ハンズ、果ては三鷹のJマートまで行きましたよ。いろいろ買うことはできました。でもないの。欲しい塗料だけが。
 使いたかったのは「アレスコ(関西ペイント)」というメーカーの「オイルステイン」という種類の塗料だったんだけど、これがないない。でも、同じオイルステインでもメーカーによって全く色味が異なることは知っていたので、どうしてもアレスコが欲しかった。
 でもまあ、この時点ではまだ今すぐ必要という状況ではなかったので、もう少し探してみて、無ければ取り寄せてもらおう、ということになった。
 
 いよいよ店の名前を決定しなければならない。いい加減決めないと、DMも作れない。
 「塩梅(あんばい)」とか「南天(なんてん)」とか、友達からはアヤとハヅキだから「小豆(あずき)」とかって無責任(でもちょっとかわいいかもね)なアイディアも出されたけど、最終的にはやっぱり、渋谷時代に使っていた「舌笑/GOCHI」を使わせてもらうことにした。語呂がいいし、覚えやすい。和っぽい言葉はなんか小料理屋みたいでちょっと違う。これがいちばんシックリ来る。
 念のため渋谷ゴチ時代のオーナーに名前の使用許可を求めると「使ってくれて嬉しいよ〜」と快諾を得た。
 ただ、創作和食屋だった渋谷時代とは気分的に区切りをつけたかったので、表記には「高円寺」を付け、横文字ではなくひらがなを使うことにした。
 『高円寺ごち』。いいじゃない。
posted by 高円寺ごち:営業時間19時〜3時/杉並区高円寺北2-7-13高円寺銀座ビル3F右/03-3338-7077 at 03:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 開店記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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