2006年09月28日

飲み屋の作り方[11]--オープンまであと1ヶ月なのに問題続出

壁らくがき.JPG 天井穴01.JPG

ベランダてすり.JPG


 さて、天井にダウンライトの穴を開ける段になって、ハタと困った。またしても図面の数値が通用しなくなってしまったのだ。なぜかというと、天井近くに出っ張りがあるのを考えてなかったから。ああ、重ね重ね手落ちが…申し訳ない。

 で、やっぱりここでも現場合わせ。
電気屋さんA:「どうします?等間隔にする?」
ごち:「えとー…するとどうなります?」
電気屋さんA:「こっち側(厨房内)はねぇ、ここから○○mmで取ると等間隔でこれくらいになるね」
電気屋さんB:「違うだろ、それだと○○mmじゃないの?」
柳沢さん:「ちょっと待って…そうか、○○mmか。ココ壁出っ張ってますもんね」
電気屋さんB:「いや、そっち側から測った方がいいんじゃないの。キッチン明るい方がいいもんねぇ?」
ごち:「あ、そうですね…じゃあまず右端のを○○mmのところにしてもらって」
電気屋さんA:「でその○○mmのとこが中心でいいのかな?それともはじっこ?ダウンライトの直径○○mmになるけど」
ごち:「…ちゅ、中心で!あとは等間隔で!お願いします!」
電気屋さんA:「よっしゃ。でホール側はどうする?おんなじ?」
 あーうー。焦りと恐縮。
 電気屋さん2名と柳沢さんとあたし達、5人で頭突き合わせて計算して割り出す。いい業者さんで良かったよぉ。
 ところで業者さんというのは、真白い壁に、ガンガン書き込みしていくのだな。天井と入り口側の壁はあっという間に電気屋さんのメモ帳と化した。
 小さい時、えんぴつを持たされたあたしは紙をはみだして壁からふすまから、部屋中に長い長い落書きをし、その後ろを姉が消しゴムで追い掛けてきたのを思い出した。
 どんどん書き込んでいくのは、気持ちいいに違いない。
 
 二人でベランダの手すりのサビ落としをしていると、裏のビルのオーナーとおぼしき人物が歩いて来るのが見えた。ので、お菓子を持って飛び出す。裏のビルがいろいろとちょっとウルサイとは聞いていたので、ご挨拶をしないわけにはいかなかった。
「すいません、オーナーさんですか?」
「あぁ」とも「はぁ」ともつかない音を出してオーナー氏振り返る。
「私共、今度こちらのビルで開業することになりましてご挨拶にうかがいました。12月から──」
「あそう。何屋?工事やんの?いつ?」
 それを今言おうとしてんじゃないの。
 でも隣近所とは良い関係を保ちたいので、名刺を渡しつつ業務内容と工事日程を話し、だいたいの工事内容も告げ、笑顔と共にお菓子をお渡ししようとするがしかし。
「フーン、じゃ工程表出してくれる?」
 なんであんたに工程表を出さねばならんのだ。ウチが工事すんのはあんたのじゃない、隣のビルだぞ。
「うちもさぁ前にモメたことあんだよ工事で。あれ何?ビニールシート?あれ車にかけてくれんのはいいけどガムテで止めたりさぁ」
 そんなプロの業者はいません。いませんし、素人でもさすがに人様の車にガムテープなんか使いません。思わず笑いそうになった。
「音とか振動とか出されちゃうと困るんだよ、うちスタジオなんでね。お客さんからクレームついたりするとほら、うちも商売だから。困るんだよねぇ、レンタル料タダにしろとか言われると。そういうことになるとオタクに賠償してもらうことになるよ」
 はぁ?つか、あんたとこ同じビルにカラオケ入ってるやん。こっちのビルまで声響いてんで。と呆れ半分で思わず関西弁にもなろうってもんだ。
 まだごちゃごちゃ言い続けるオーナー氏の言葉に割り込むようにして言った。
「わかりました、工程についてはのちほど業者さんに詳細を確認してご連絡します。音や振動もできる限りご迷惑にならないよう手配します。ちなみにいつも何時くらいからいらっしゃるんでしょうか?」
「まぁだいたい午後からだけど工事12月からって言った?困ったなぁその頃もう予約で一杯なんだよねぇ。まあ午前中だね。午前中に終わらせて下さいよ。うちも商売だから」
「わかりました、大きな音の出てしまう作業はできる限り午前中にしてもらうようにします。工程については後日、また午後にお邪魔すればよろしいですか?」
「あじゃあ携帯に連絡して。それからそっちの連絡先教えてもらえる?何かあったらアレだから」
「では工程については後ほどご連絡します。こちらの連絡先はその名刺に書いてありますので。これよろしかったら。つまらないものですが」
 と菓子折りを差し出すが、
「いや、そーゆーの受け取らないから」
 オーナー氏はかたくなにご挨拶のお菓子を拒否した。
 ケッツの穴のちいさい男やのぉ。こっちも煎餅の一つや二つで買収できるとは思うてへんわ。ただのご挨拶くらい気持ちよく受け取ったらええやないの。
 二人してイライラしながら店に戻った。こっちも商売なんだよ!!あほか!!
 すぐに柳沢さんに電話して事情を話す。ただのカマシだとは思うけど、ほんとに賠償問題になるのは勘弁して欲しい。
「……というわけなんですよ〜」
「工事で全く音出さないのは無理ですね。わかりました、じゃ私からその方にご連絡してみます」
「お手数かけてすいません。よろしくお願いします」
 そんなこんなで、腹立たしさをブチまけながら、ベランダの手すりのサビ落としに戻った。時間を取られたおかげで、塗装までこぎつけずにサビ止めまでしか塗れなかった。渡すアテのなくなった煎餅を夜食にした。旨かった。やらんでよかった。
 
 翌日柳沢さんから「音と振動の問題はなんとかなりました。工程表もファックスしといたんで大丈夫ですよ。あとはやっちゃいましょう」と聞いて安心した。隣近所とのトラブルは工事につきもので、そのへんの対処には慣れてるらしい。…というより、男の人が出てきたらとたんに大人しくなったようだ。なんやおっさん、ヘタレやなぁ。
 結局、というかやっぱり、というか、結構な音を出しても怒鳴り込まれるようなことは一度もなかった。それどころか、午後になってもスタジオが開いてないことの方が多かったくらいだ。それに、もし音が気になっても、駆け込み工事が多い年末、ご近所が一斉に工事していて、文句つけるのも一苦労だったんじゃないかな。
 
 さて、店の工事と時を同じくして、ビルの防水・外壁塗装が入ることになった。
 これはビルのオーナーさんの依頼によるもので、ウチとは全く関係ないんだけど、ほぼ同時期からスタートして、ウチのオープン前日に作業が終了する予定とのこと。おお、新装開店にふさわしい。
 …と喜んでもいられなかった。
 ウチの工事と作業が絡む部分が結構あるのだ。
 まず屋上。エアコンの室外機を置く予定なのと、換気扇の排気孔を開けるのに屋上に登る必要があること。それからベランダ。外でも飲めるようにカウンターを付けたいし、窓ガラスを取り替える時もベランダに出なければ作業ができない。
 そこで、外壁塗装を請け負った業者さんに連絡を取り、こちらの工程を伝えてその日だけはなんとかベランダに出られるように、とクドイほどお願いした。
 ところがまあ、お互いの作業の進み具合によってこれを摺り合わせるのが大変で。何度も何度も電話して、そのたんび「作業日を○○日と申し上げたんですが、○○日に変更でお願いできますか」と頭を下げなければならなかった。
 でも現場に入っていた塗装業者さん、ほんとにいい方たちで。最初の頃はお互い「ああ、いるな」くらいの感じだったんだけど、「あの、中でも塗装をやってるので…窓開けてもいいですか?」と言えば快く養生シートを外してくれる。のちに、もっとでっかい迷惑をおかけすることになったのだが、それもなんとか納めてくれた。この事件については追って詳しく書く。
 そして今もお世話になっている。なんと店の常連さんになってくれたのだ。いろいろご迷惑をおかけしたけど、いい出会いでした。
posted by 高円寺ごち:営業時間19時〜3時/杉並区高円寺北2-7-13高円寺銀座ビル3F右/03-3338-7077 at 05:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 開店記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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